障害年金に必要な書類と期間は?請求手続きの流れとつまづきやすいポイントを徹底解説
障害年金は請求手続きをして、要件に該当していることが認められて受給ができます。
では、請求手続きは具体的にどのような流れになるか。また請求手続きでつまづきやすい点はどのようなことがあるか。お知らせします。
障害年金請求手続きの主な手順
主な請求手順
①年金事務所等にて年金の納付要件をみたしているか確認 ②年金事務所等で裁定請求書類の取得 ③【重要】受診状況等証明書の取得(初診と診断書作成病院が同じ場合は不要) ④【最重要】診断書の取得 ⑤【重要】診断書に書かれた内容の点検 ⑥【重要】病歴就労状況申立書の作成 ⑦その他任意の申立書の作成や年金請求書の作成 ⑧(必要に応じて)戸籍抄本、住民票等の取得 ⑨年金事務所等への書類提出 ⑩(場合により)請求についての年金事務所等からの問い合わせ、照会に対する応対 |
年金事務所や市区町村役所などで必要書類の受け取りや制度の概要の説明を受けることができます。
請求に必要な書類
日本年金機構では障害年金の裁定請求に必要な書類の一覧が公開されています。
障害年金請求手続きでもっと大切な書類
障害年金の認定で大切になるのは初診日と障害等級の認定になります。
この2つについて主に次の3つの書類で決まります。
・受診状況等証明書 ・診断書 ・病歴・就労状況等申立書 |
これらが「揃えられるか」だけでなく「適切な内容が反映できているか」が障害年金の受給を決めるといっても間違いありません。
①受診状況等証明書
受診状況等証明書で受診記録の証明をします。
カルテなど客観的な記録から転記する形で作成されます。
作成が必要なのは「診断書を作成してもらう病院と初診日の病院が違うとき」です。
なお初診の病院と診断書を作成する病院が同じ場合には受診状況等証明書の作成の必要はありません。
なお、最初の病院で作成ができない場合には、「受診状況等証明書が添付できない申立書」とともに2番目以降の作成できる最も古い病院等で作成してもらいます。
2番目以降の病院に前医からの紹介状がある時は、その写しも添付してもらいます。
<参考>受診状況等証明書のダウンロードについて
日本年金機構のHPよりダウンロードができます。
②診断書【最重要】
診断書は障害等級を認定するもっとも重要な書類になります。
カルテや日々の診療をもとに記載しますが、日々の診療では確認できていない点の記載が必要になる場合もあります。
そういった点については、適切に医師に情報提供することが必要な場合があります。
請求の方法によって診断書の作成時期が変わってきます。
請求の方法 | 期限(診断書に記載の「現症日」から) |
障害認定日請求 | 障害認定日から3か月以内の診断書が必要 |
20歳前障害での障害認定日請求 | 障害認定日前後から3か月以内の診断書が必要 |
事後重症請求 | 現症日から3か月以内に提出が必要 |
障害認定日請求(1年以上さかのぼる場合) | 障害認定日から3か月以内の診断書+現症日から3か月以内の診断書の提出が必要 |
【注意】
障害年金の診断書が作成されたときに、「開封厳禁」と指定されている場合があります。
「障害者手帳」では開封厳禁な場合がありますが、障害年金ではそのような指定はありません。
必ず開封して記載漏れや記載誤りなどがないか確認します。
<参考>診断書の書式のダウンロードについて
日本年金機構のHPよりダウンロードができます。
③病歴・就労状況等申立書
病歴・就労状況等申立書は、発病から初めて病院で診療を受けるまでの経過やその後の病院の受診状況および日常生活や就労状況などについて記入が必要になります。
診断書では「臨床」的な見解は記入されますが、日常生活の実際の不便さや就労での具体的な支障については記載されません。
そのため病歴・就労状況等申立書は、日常生活の不便さや就労での支障などが伝わるように具体的な内容で作成することが重要です。
なお、この病歴・就労状況等申立書は自身か代筆者で作成します。
【書き方の注意】
経過の期間の区切り方に注意が必要です。
同一の医療機関を長期間受診していたり、医療機関を長期間受診していなかった場合は、その期間を3〜5年ごとに区切ります。
<参考>病歴・就労状況等申立書の書式ダウンロードについて
日本年金機構のHPよりダウンロードができます。
障害年金請求手続きでつまづきやすいポイント
障害年金請求手続きで、診断書や書類の不備などがあると本来とは違った等級や不支給という決定が出てしまうことがあります。そうすると再度請求をする必要があったり、リカバリーに時間も労力もさらにかける必要があるかもしれません。そこで障害年金請求でつまづきやすいポイントとその対応方法についてもまとめていきます。
障害年金がもらえる条件の理解不足
障害年金の請求手続きでは必ず医療機関とのやりとりが発生します。診断書や受診状況等証明書などの書類の発行が必要だからです。このときに医療機関の担当者とコミュニケーションをする際に、たまに障害年金に関して正しくない情報をお伝えされるケースがあります。例えば「障害認定日が到来していない」「あなたは障害の状態が軽いからもらえない」などのケースです。
障害年金に関する基礎知識がないと伝えられたことをそのまま鵜呑みにしてしまうケースがあります。後になって実は受給できたかもしれないのに、数年何もしていなかった、ということもあります。
こうしたことにならないためにも、障害年金について条件などを事前に整理して理解する必要があります。
作成された診断書等の記載内容に過不足がある
医師は臨床のプロです。医学的な知見に基づいて「診断」を行います。しかし「障害年金の診断書を適切に記入する」という点では難しいことも少なくありません。障害年金の診断書はたくさん書いているという医師は稀です。
そうすると「診断」したことを「診断書」に適切に反映されないこともあります。「正しい診断がされている前提」で「診断書に正しく反映されているか」確認する必要があります。
請求手続きで時間がかかってしまい負担も大きい
障害年金請求手続きは、老齢年金の請求手続きと違って、さまざまな書類の用意、記入が必要です。障害を抱えながら、お一人で請求手続きはとても大変です。その場合、ご家族やご友人、施設の担当者の方などと連携して進めることも少なくありません。しかし、その場合サポートする方も働きながら、「本人の障害の理解」と「障害年金の制度の理解」を同時に行っていく必要があり、その負担はかなり大きくなります。
すると請求手続きでどこかで詰まってしまうと頓挫したり、しばらく時間がかかったりしてしまいます。
障害年金は請求方法によっては、請求が遅くなるほど年金の受給が減ることもあります。また診断書の期限もありますので、請求を進めるとすれば「一気に」手続きを進めることが必要です。そのためには「事前に段取り」をしっかり行うことが重要になります。
障害年金請求手続きでつまづかないために
障害年金の「もらえる可能性」があることと、「しっかり請求手続きができること」は分けて考える必要があります。
しっかり請求手続きができるために行うことをまとめます。
障害年金の制度をしっかり調べる
年金機構のホームページや書籍などから情報を収集することができます。「正しい情報」から障害年金制度の理解をすることをおすすめします。なお、SNSでも「リアルタイム」での情報を収集できることがありますが、「情報の切り取り」があったり、間違った情報である可能性がありますので、「参考」程度にすることがよいでしょう。
障害年金を進めるためには「障害年金がもらえる条件」を知っておくことも重要です。
ぜひこちらの記事も併せて読んでみて下さい。
1人で請求手続きを行わない
障害年金の請求手続きはかなりの労力、エネルギーが必要です。気力、時間、能力があれば1人でも手続きを進めることは可能です。しかし、「障害があるから請求する」という原則を考えると、1人で請求を進めるのは難しいと考えるのが自然です。ご家族、福祉関係者、信頼できるご友人などのチカラを借りながら、請求手続きを進めることをおすすめします。
プロのチカラを借りる
障害年金の請求を「自分たちだけ」で行う必要はありません。社会保険労務士という国家資格者は提出を代行することが法律的に求められています。そうした「プロ」のチカラを借りるという選択肢も有効です。
最近、社会保険労務士で障害年金の請求支援を行う方が増えてきました。「知識量」や「経験」はかなりばらつきがあるというのは正直なところです。プロのチカラを借りる場合にも「相談の経験」だけでなく「請求実績」「相性」「料金」「障害年金への考え方」など「信頼できる方かどうか」を確かめてから支援を依頼されることをおすすめします。