障害年金で精神疾患での初診日の考え方について詳しく教えて下さい

当センターでの障害年金のご相談でよくある質問をご紹介します。

質問

最初適応障害と言われましたが、その後うつ病と診断名が変わりました。障害年金の条件の中に「初診日」という言葉があります。私のように病名が変わっている場合、うつ病の初診日が障害年金の初診日でしょうか。

答え

障害年金での初診日とは「障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」をいいます。同一の病気やけがで転医があった場合は、一番初めに医師または歯科医師の診療を受けた日が初診日となります。提出された書類をもとに保険者(認定医)が決定します。ただし、診察の中で病名が変わる場合でも、それぞれが同じ病気(または関連がある)と判断される場合、最初での病名での診察が初診日となります。

初診日のポイント

初診日の認定が大切な理由

初診日の特定は下記において必要になります。

1⃣初診日の前日において、年金の納付要件を満たしていること

2⃣障害認定日は初診日を基準として決まる

3⃣請求できる年金の種類は初診日に加入していた年金制度によって変わる

初診日を特定するために

認定上次の2点を行います。

1⃣障害の原因となった傷病を特定する 

2⃣初診日を確認できる資料を確認する

※初診日を確認する資料が入手できない場合には、複数の方からの第三者証明などにより代替が可能な場合もあります。

複数の傷病の関連が大きい場合の取り扱い

複数の傷病の関連が大きい場合は同一の傷病として扱い初診日を特定します。

例えば下記のような病気が挙げられます。

・糖尿病 ⇒糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)
・糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎 、慢性腎炎⇒ 慢性腎不全
・肝炎 ⇒ 肝硬変
・結核 ⇒ 聴覚障害(化学療法の副作用)
・輸血の必要な手術 ⇒ 肝炎(手術等による輸血)
・ステロイド投薬が必要な傷病 ⇒大腿骨頭無腐性壊死(ステロイド投薬による副作用)
・事故による傷病、脳血管の傷病⇒ 左記傷病による精神障害
・肺疾患 ⇒ 呼吸不全(肺疾患の手術ののち)
・転移性悪性新生物: がん(はじめてなった部分にかかるもの)⇒転移性悪性新生物: 原発とされるものと組織上一致、または転移であることを確認

などがあります。

初診日の取り扱いの具体例

精神障害について
  • 傷病名が特定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても同一傷病と判断される場合(例:心因反応→うつ病)⇒対象傷病と異なる傷病名の初診日 
  • 発達障害(ADHDや自閉スペクトラム症など)⇒自覚症状があって初めて診療を受けた
  • 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病がある場合⇒最初の傷病の診療を受けた日​
  • 過去の傷病が治癒し、その後再発した場合⇒再発後最初に診療を受けた日(治癒には社会的治癒(社会復帰し治療の必要ない状態)を含みます)
  • 先天性の知的障害(精神遅滞)⇒出生日(後天性は初めて診療を受けた日)
共通・その他の障害について
  • 初めて診療を受けた日⇒治療行為や療養に関する指示があった日)
  • 同一傷病で転医があった(医療機関や担当科がかわった)場合⇒さかのぼって最初に診療を受けた日
  • じん肺症(じん肺結核を含む)⇒じん肺と診断された日
  • 先天性心疾患、網膜色素変性症は⇒具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日
  • 先天性股関節脱臼で完全脱臼したまま生育した場合⇒出生日
  • 先天性股関節脱臼で青年期以降に変形性股関節症が発症した場合⇒発症後に初めて診療を受けた日

初診日の確認の参考になる資料

申請書類に下記の写しなど添付することで初診日の特定ができることがあります。

・身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳

・身体障害者手帳等の申請時の診断書

・生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書

・交通事故証明書(事故に原因がある場合)

・事業所の健康診断の記録

・インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー

・健康保険の給付記録

・次の受診医療機関への紹介状

・電子カルテ等の記録(氏名、日付、傷病名、診療科等が確認されたもの)

・お薬手帳、糖尿病手帳、領収証、診察券(可能な限り診察日や診療科がわかるもの)

・複数の第三者証明

精神疾患での初診日の具体例

ある精神疾患の方の事例です。

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①ある日、頭痛や吐き気などがしたために内科に診察。

②内科で診察、検査した結果、異常なし。

③内科要因でない可能性があり、心療内科を紹介を受ける。

④紹介された心療内科でうつ病の診断を受ける。
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この方の場合の初診日は原則は内科で診察を受けた日になります。請求する傷病のきっかけとなった症状に関して、最初に診察を受けた日が初診日となります。

まとめ

初診日の特定は、障害年金の請求において、

☑はたして障害年金を受ける資格があるか?

☑もらえるとしたら障害厚生年金か?障害基礎年金か?

☑いつから障害年金をもらう権利が発生するか

が決まるすごく重要な日です。

この初診日について、よく分からないという方は当事務所で定期的に開催している無料相談会(WEB相談可能)でも説明しております。

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