【障害年金】医師から診断書を書いてもらえない場合の対応方法
当センターで実際にご相談があったことをFAQ方式で解説します。
障害年金の申請は簡単には進まないことが多く、悩むことも多いはずです。
疑問点を解消して、少しでも障害年金の申請を進めるためにご参考下さい。
このページの目次
【質問】診断書が発行してもらえず、障害年金の申請ができません。どうすればいいでしょうか?
いざ障害年金を申請しようと決心して医師に診断書の作成をお願いしたところ、作ってもらえないというご相談をいただきました。
その場合の対応方法について解説します。
【回答】3STEPのコミュニケーションを考えてみましょう。
診断書がないと原則的には障害年金の請求ができません。例外的にできる場合がありますが、まずは診断書を書いていただくように医師と適切にコミュニケーションをとる必要があります。
そのコミュニケーション方法について深堀していきます。
・医師が作成しない理由を確認する ・作成しない理由をなくせるように対応する ・それでも作成いただけない場合の2つの対応を考える |
1つ1つ解説します。
【STEP1】医師が診断書を作成しない理由を確認する
医師もなんらかの理由があって、診断書の発行ができないと判断しているはずです。医師はどういう場合に断れるのか確認してみましょう。
医師が診断書発行を拒める法的根拠
医師法第19条第2項に「診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。」とされています。
法律上は正当な事由があれば拒めることになります。
「正当な事由」とは
「正当な事由」には
(1)患者に病名を知らせることが好ましくない時
(2)診断書が恐喝や詐欺など不正使用される恐れがある時
(3)雇用者や家族など第三者が請求してきた時
(4)医学的な判断が不可能な時
などが該当すると考えられます。
医学的な判断が不可能な時
正当な事由に該当するのは「医学的な判断が不可能な時」が多いと考えられます。
実際に医師が次のような理由で「判断ができない」とすることがあります。
・検査の回数が規定の回数に達していない ・病状が不安定で確定ができない |
しかし、ご自身では病状などはすでに判断がつくはずだ、と考えている場合、見解の不一致で「診断書が作成してもらえない」と感じてしまうこともあります。
このような場合は次を医師に遠慮せずに確認してみるとよいでしょう。
①まだ検査などが必要かどうか
障害年金の診断書で必要な検査があります。場合によっては複数回検査が必要なものもあります。
②どのくらい期間の診察で書いてもらえるのか
精神疾患などでは、3ヶ月~6ヶ月くらいは診療を行わないと判断できないとケースがあります。
【STEP2】作成しない理由をなくせるように対応する
「診断書を作成してもらえない」という不安から診療を自己中断したりすると、さらに診断書の発行が難しくなる可能性があります。
ここからは「どうやったら作成してもらえるか」を中心に考えていきます。
医学的な判断ができるように医師とコミュニケーションをする。
どのくらい通院すればいいのかなどを確認します。場合によっては判断がつく必要なタイミングまで待つことが必要です。
「正当な事由」がない理由で拒まれていると感じる場合
確認してもどうも正当な理由にあてはまらない理由で、診断書の作成が拒まれていると感じることもあります。
このような場合には、診断書の発行について根気強く説明をしていくしかありません。
医師と直接コミュニケーションをとる以外でも相談員の方と協力したりするなど、できる限りの方法を検討します。
実際のケース
診断書の発行が進まなかったという実際のケースをご紹介します。
①医師が忙しい(スケジュールが合わない)
主治医が月に2回しか診療に入らないなどで作成が進まないケースがありました。
このような場合には、診断書作成依頼時に発行までどのくらいかかるかを確認することが必要です。
<注意>
こちらで注意しないといけないのが、診断書の発行時期です。依頼してから半年~1年間かかってできあがるということもあります。申請の種類によっては、期限切れになる可能性があります。
②医師と障害年金に関する解釈が異なっている
主治医が障害年金に否定的な考えをもっているケースがありました。次のような発言がありました。
・「あなたは障害年金がもらえないから診断書を出さないよ」 ・「障害年金を受給することでかえって社会復帰が遠のくよ」 |
障害年金の制度を誤解されている可能性もあります。
医師は臨床のスペシャリストですが、障害年金に精通しているとは限りません。
このようなケースではなかなかご自身だけで医師とコミュニケーションしていくのは難しいかもしれません。
ソーシャルワーカー(社会福祉士)など障害年金制度に詳しい方と連携し協力体制をもって申請を進めるなど、障害年金に関する専門知識がある方との連携が必要になってきます。
大切にすべきなのは当事者全員の情報の共有
いずれにしても医師との信頼関係のもと一定期間の治療を受ける中で障害年金に関する情報共有を続けながら、診断書の依頼を続けることが必要になります。
それでも診断書の作成を拒まれてしまう場合、社会保険労務士などの専門家に相談してみることや主治医を変更するなどの選択肢も検討する必要があるかもしれません。
【STEP3】作成されない場合の2つの対応を考える
いくらコミュニケーションを重ねても、医師の考え方や態度が変わらないこともあります。
その場合には次の2つの選択肢も視野に入れる必要があります。
転院という選択肢はないか
自身の理解と医師の見解で食い違いがある場合、説明をきちんと受けて理解できるのがベストです。ですがこのコミュニケーションが難しい場合には、セカンドオピニオンや転院という選択肢もあるかもしれません。
診断書がなくても申請はできないか検討する
一部の傷病に限りますが、診断書がなくても申請できる可能性があります。ご自身がこれにあてはまっているか専門家などに相談することもできます。
最後に
当センターでも、医師やソーシャルワーカーに掛け合うことで診断書を書いていただくケースもあります。
しかし、それでも医師からは前向きな回答が得られず、転院された後、治療も順調に進めながら障害年金申請もできたケースもあります。
逆に、障害年金申請をあきらめるケースがあります。その場合は他に通院先がないなど、障害年金申請よりも医療を受けることを優先する選択をされた場合になります。
自身の治療と障害年金申請を含めた生活とのバランスをどのように考えるか。これが診断書発行がスムーズにいかない場合の課題と言えるかもしれません。
診断書をもらうために知っておくべきこと
今回は「医師から診断書を書いてもらえない場合の対応方法」について解説しました。
診断書をもらうためにも「障害年金がもらえる条件」や「障害年金の申請の流れ」を知っておくことも重要です。
ぜひこちらの記事も併せて読んでみて下さい。
↓障害年金がもらえる条件↓
↓障害年金申請の流れ↓
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